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2015.4.20 更新
DOWNHILL SERIES#5 菖蒲谷森林公園のレースレポート
11 月 23、24 日、DOWNHILL SERIES #5 は菖蒲谷森林公園・特設コースにおいて開催された。
晴天のなか、赤や黄色に染まる色とりどりの木々に囲まれた第 5 戦会場は、 兵庫県たつの市にある菖蒲谷森林公園。常時オープンではない会場ではあるが、何本ものダウンヒルコースや、ライダーからの評価の高いクロスカ ントリーコースも整備された関西では有名な会場である。
100 名の参加者を集めた今大会で使用されたのは、全長 545m、標高差 79m と短いながらも、テクニカルで、漕ぎ区間・キャンバー・舗装路・ジャン プなど様々な要素が詰まっている。DOWNHILL SERIES 全 6 会場のなかで唯 一搬送は無く、スタートまでは 10 分少々の距離を選手個人がバイクを押 し上げることになるが、仲間たちと話をしながら、息を上げながら登る、 それもまた一興。菖蒲谷の醍醐味なのだ。
搬送設備はなく、参加者はスタート地点までゆっくりとバイクを押し 上げる。木漏れ日が心地良い
Photo: ©DOWNHILL SERIES / Hiroyuki Nakagawa
メイン会場からも見渡せるコース終盤にはジャンプが設置され、トップライダーたちのビッグジャンプに声援が上がった。
初日のタイムドセッションのエリート男子では安達靖 (DIERTFREAK/SARACEN)が 1 分 7 秒 127 というタイムで1位。 2 位には 0.05 秒差で清水一輝(Madison Saracen)がつけ、3 位には 1 分 8 秒 407 で加 藤将来(LOVEBIKES/ACCEL)。4 位には阿藤寛(COMMENCAL/Topknot)、5 位には増田直樹(DTP)と続いた。
本戦当日も 11 月半ばにしては気温も高く、青い空が広がる。バイクの押 し上げで汗だくになり、爽快に下る。ゴール後、ブースの立ち並ぶメイン 会場を通るライダーたちはみな REDBULL に手を伸ばし、コース攻略やバイ クの話題で盛り上がる。
今回のレースには、菖蒲谷でのレースを得意とするリジッドバイクの名手、 増田や、2009 年の全日本チャンピオン向原健司(MAGURA/RR/FK170)なども参戦。レースの第一戦からは退いていながら現役に劣らない走りをする 彼らは、現役ライダーにとっても脅威である。
本戦では土曜日のタイムドセッションには参加しなかった向原が早々に1 分 5 秒 584 というタイムドセッション 1 位の安達を 2 秒近く上回るタイム をたたき出した。スタート地点までも届く MC の声がそのタイムを読み上 げた瞬間、残されたトップライダー達の目の色が変わった。「ワンミスが 命取りですね」とスタート前に井本はじめ(Lovebikes)が語った通り、 短いコースだけあってたったひとつのミスさえ取り戻すことは不可能に等しい。
しかし、現役ライダーの意地がある。残り 6 人を残したところで、井本が 1 分 5 秒 287 というタイムで向原を上回る。さらに、残り 2 人となったところで清水が 1 分 3 秒 480 という驚異的なタイムを出し、最終走者の安達 は「今日の朝までは勝ったと思っていましたが、本番ではミスしてしまいました」と話し、タイムは 1 分 4 秒台。 清水の DOWNHILL SERIES での 2 勝目が決まった。
優勝した清水一輝、アグレッシブな走りは間近で見る観客を魅了した
Photo: ©DOWNHILL SERIES / Hiroyuki Nakagawa
レース後清水は、「内容の濃いコースでした。いつも失敗していたコーナ ーで上手く決まったのが勝因ですね!他にもたくさんのコースがあると 聞いたので、また走りに来たいです」と語った。
エリート女子では末政実緒(DIRTFREAK/SARACEN) が安定の走りで優勝を飾り、ホームコースとも言える菖蒲谷のことを「ここをみんなに走ってもらえて嬉しい!」と話した。
チャレンジ男子クラスの闘いも熱かった。この春 DH 競技を始めたばかりながら DOWNHILL SERIES チャレンジクラス 2 連覇中でポイントランキン グもトップを突っ走る 19 歳の藤村飛丸(BlankyDog/MUDDY CHOCOLATE)と、 TeamIKUZAWA のメカニックなどを勤めてきた、若手に負けるわけにはいかない ProShopYRS 店長・山本明(TeamYRS)。若者の勢いと、オジサンの経験値。注目の集まったこの闘いは、タイムドセッションでは 0.871 秒差で山本が競り勝ち、本戦でも周囲からの「若手に負けるな!」「チャレンジクラスで 2 位はないよね?」という暖かいプレッシャーが襲いかかるなか、 渾身の走りで山本が勝利。これが大人の意地であり、気持ちの差か。0.016 秒という僅差で藤村の 3 連覇を阻止した。
チャレンジクラスを面白くした地元のショップ YRS の山本店長。執念 でコンマ差の激戦を制した
Photo: ©DOWNHILL SERIES / Hiroyuki Nakagawa
DOWNHILL SERIES も残るはあと 1 戦。 火の国熊本での最終戦は、12 月 13、14 日に行われる。