バイシクル特集

2019/3/28 更新

注目度上昇中! 2019ハンドメイドバイシクル展 vol.1 -盛り上がる国内ビルダー熱-

盛り上がりを見せるハンドメイドバイク界のいま

ハンドメイドバイクというと、クラシックやヴィンテージという印象をもつ人も多いだろう。
カーボンバイク全盛のいま、フレーム素材という意味ではたしかにそのとおりかもしれない。

しかし、スポーツバイクが普及し、その乗り方や遊び方が多様化している最近では、バイクの選び方も多様化しているのが現実だ。
そこで、再び注目されているのがハンドメイドバイク。

自転車としての普遍的美しさはもちろん、タイムを競わないような乗り方も優しく許容してくれる乗り心地、そしてライダーに合わせた設計ができる物理的メリットは、多様化した現代において新しい価値として再認識されているのだ。

二子新地にある人気ショップ、アバブバイクストアのマッドマンカスタム。ギャラリーの目を引く凝ったペイントワークも最近のハンドメイドバイクの人気のひとつ。オリジナルベンドを施したシートステーは、カーボンバイクにはない流麗な曲線美を描いていた

シリアスレーサーからも人気が高いエクイリブリウムサイクルワークス。eタップ&油圧ディスクブレーキ仕様のモダンロードレーサーを展示していた

サビてるじゃん!と驚くかもしれないが、これはペイントによる演出。国内の塗装工房アトリエ・キノピオによるもので、もはやアートといえる存在感

バイシクルクラブの連載でもおなじみ、ケルビムも常連。クラシカルなモデルからディスクロード、タンデム、一般車(ママチャリで40万円!)まで幅広く展示していた。先日アメリカで行われたNAHBSではベストコロンバスアワードを受賞し、まさしく世界に誇るトップブランドといえる

ツーリングバイクを得意とするモンソンは、ていねいな仕上げとセンスのあるカラーリングが魅力。バッグもオリジナルで製作している稀有なブランドだ

ハンドメイド工房のなかにはカーボンバイクを手掛けるところも。鶴岡レーシングのドンツァーは、美しいメッキカラーのTTマシンを展示して注目を集めた

国内でも随一の独創性で不動の人気を誇るサンライズサイクルズは、塗装前の生地フレームを展示。初めて見る人はきっと驚くにちがいない

大御所ブランドの造形美を堪能できるのもこのイベントの魅力だろう。ツーリング車の名門、ワタナベ(通称SW=エスダブ)も生で拝見できる

絹自転車製作所のテンションシルク号は、ダウンチューブがヒモ構造という異色のキャンピングバイクを。バイシクルクラブ5月号で詳細を紹介している

ハンドメイドバイク界でもディスクブレーキ仕様は多かった。台座の形式やパイプ構成など、工房によってさまざまな工夫がされている模様で、腕の見せ所でもある

パーツブランドや展示も注目の的

今年は毎年会場となっていた科学技術館から代わり、東京流通センターでの開催だった。
発表によれば会場自体の大きさはそれほど変わっていないとのことだったが、天井が高く、全体的により明るい会場に変わったせいもあってか、「例年よりも開放的で見やすい」という声が多く聞こえた。

ハンドメイドバイクの注目度に合わせ、会場の展示も年々おもしろいものが登場している。
フレームがどのように作られているか、どんな素材が使われているかがひと目でわかる展示のほか、ヤスリがけ体験コーナーという風変わりな(でも大盛況!)イベントも催された。

また、今年は国内パーツブランドも数多く出展し、来場者をよろこばせた。

ハンドメイドとはいいながら、その実際は意外と知られていないハンドメイドバイク。使われる素材や製法を、現物の展示と合わせてわかりやすく解説。カーボンバイクしか知らないという人にはぜひ一度見てもらいたい

メイドイン埼玉のペダル、三ヶ島製作所のMKS。ズバ抜けた回転力は実際に触れば驚くことまちがいなし。競輪からホビーライダー、海外からも不動の人気

フレームの元となるパイプやラグも素材のまま展示されている。日本発祥のブランド、タンゲもさまざまなモデルをラインナップし、来場者に解説していた

イタリアンメーカー、コロンバスはパイプのほか、カーボンフォークも展示。来場者はもちろん、ビルダーも情報収集のために集まっていた

会場内を歩く自転車マニアの濃厚さを見物するのも乙な楽しみ方。バッグにリフレクターを上手に取り付けていたので思わず撮影してしまった(お見事です

昨年から始まったヤスリがけ体験コーナー。当初は「正直、誰がやるの?」という声も聞かれたが……フタを開ければ超絶大盛況! ベテランビルダーによる早く美しく削るワザは一見の価値ありで、来場者も大興奮

来場者も実際に削ることができ(人数制限あり)、フィレット部分やラグの仕上げに挑戦できる。来年もきっと開催されるはず(?)なので期待しよう

出展者でもある編集部トモヒロも先生役としてレクチャー。ヤスリがけの奥深さを体験すれば、展示バイクを見る目も変わることだろう

次なる舞台「ジャパンバイクテクニーク」へ

じつは今回、主催者とは別であるイベントが動いていた。
6月15日(土)~16日(日)に開催される「ジャパンバイクテクニーク」だ。

これはハンドメイドバイクの技術力を競うレースであり、国内では初めて開催される重要なイベント。
じつは今回のハンドメイドバイシクル展では、このジャパンバイクテクニークに参戦するバイクが数台展示されていた。
こちらの詳細は後日、編集部トモヒロの新連載「ホビービルダーの続・鉄バカ日記」で改めて紹介するが、気になったバイクについて少しだけ深堀してみよう。

大御所中の大御所、マキノのディスクブレーキロードバイク。そう、お友達雑誌「サイクルスポーツ」のエントリーバイクである。
電動コンポーネント対応(ジャンクション内蔵)、フラットマウント仕様、スチールフォーク……という、マキノがいま考える「スチールバイクでの最適解」がここにあるようだ。

ディスクブレーキが多かったという話は先ほども書いたが、スチールバイクでこれを装備しようとすると、じつはさまざまな課題がある。
ひとつは剛性バランスで、ディスクブレーキに耐えうる剛性を確保しながらスチールらしいバネ感をいかに持たせるかという話。
また、ディスクブレーキ台座をどのように設けるかという問題があって、台座付きの既製品エンドを使うか、オリジナルで作り出すか、さらにそれらをいかに軽く、美しいフレームというかたちに落とし込むか……という話。
これについては多くのビルダーがさまざまなアプローチを行っていて、ジャパンバイクテクニークでもひとつの焦点になると思われる。

スルーアクスル仕様のエンドを美しくステーに接合する方法は、いろいろなビルダーが試行錯誤している問題のひとつ。マキノでは右側の一部をカットして、継ぎ目なくきれいに接合していた

Di2ジャンクションをフレーム内に内蔵するため、ハンガーのダウンチューブ接合部側を大きく穴開けしていた。パイプはほぼ銀ロウ(熱影響が少ない)で接合される。見えないところにこそ工夫があるのだ

ジャパンバイクテクニークは編集部トモヒロも参戦。同じくディスクブレーキ仕様を考えており、現在タンゲの極太(激重)44mmヘッドチューブをいかに軽くするかを検討中

フォークのアッセンブルも重要な課題のひとつ。東京サンエスのワンバイエスでナイスがカーボンフォークを発見したが、未入荷のため実装はできなさそう……さてどうするか? 乞うご期待!

見て美しく、乗っておもしろい国内ハンドメイドバイクたち。
一時期のクラシックブームとは違う盛り上がりは、会場に来ていた人たちの様子からもハッキリと伺えた。
若手ビルダーの出展も年々増えてきており、今後もその熱は上がっていくにちがいない。

そして、今年はジャパンバイクテクニークが初開催されることもあり、日本国内での認知度はさらに高まるだろう。
多様化するスポーツバイクの世界で、いまや決してマスになることのないジャンルかもしれないが、枠や常識を覆すことができる古くて新しいモノとして再び脚光を浴びることを願う。

 

vol.2では、初来日を果たしたビクシズのレジェンドビルダー、ドリアーノ・デ・ローザ氏との対談レポートと、その裏側をお届けする。

 

 

 

TEXT:友廣睦(編集部) PHOTO:廣瀬友春
問い合わせ:一般財団法人日本自転車普及協会 自転車文化センター
2019ハンドメイドバイシクル展

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