バイシクル特集

2019/2/20 更新

RIDLEY・NOAH FAST DISC【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】

春に開催される5大クラシックレースを総称してモニュメントレースと呼ぶが、うち3レースがベルギーを舞台に開催されている。
100年前後の歴史を持つこれらのレースと比べれば、リドレーの誕生は1990年で、その歴史はまだ浅い。
創業当時、フレームの塗装会社としてスタートしたが、1997年にはアルミフレームの組み立て製造を手がけることになる。
この人物こそヨキム・アールツ氏、現リドレー社長だ。

現在は、ベルギーを代表する商業都市ハッセルト郊外に本社を構える人気ブランドへと成長。
その背景には、地元ベルギーのUCIワールドチーム「ロット・スーダル」をはじめとするトップレーサーの声を取り入れた開発がある。
また、石畳に代表されるタフな走行環境下での実走テストにより速さとタフさを特徴とするリドレーは、急速にピュアレーサーとしての存在感を示していった。
現在、ワールドツアーレースでの通算勝利数は100を超える。

そんな同ブランドの看板モデルがエアロダイナミクス性能を高めたノアだ。
2009年の誕生以来、モデルチェンジを重ね、最新の2019モデルで5代めだ。
今月のエクスプローラーでは、ロット・スーダルの主戦機である「ノア ファスト ディスク」を徹底インプレッションする。

TECHNOLOGY
テクノロジー詳細!
独自機構を搭載した空力性能ノア史上最軽量を実現

これまで独自のエアロテクノロジーを生み出してきたノア。大幅な軽量化を遂げた
新型モデルに搭載される最新テクノロジーの数々をピックアップしていく

高性能バイクを生み出す
ライドクオリティ フロム ベルギー

リドレー本社の周辺には、石畳に代表されるタフなコースが無限に広がり、サーキットもあるため、バイク開発に適したフィールドが広がっている。この場所で、一からデザインと設計を行い、自転車競技が国技とされる「ライドクオリティーフロムベルギー」を掲げる高性能バイクを生み出している

ロット・スーダルの選手も参加する
大型ウィンドトンネルでの開発

徹底したエアロダイナミクス性能を追求し、前面投影面積を極限まで最小化したノアファストディスク。この開発には、2016年に、リドレーを中心としたフランダース地方の5つの企業が提携して設立した「フランダース・バイクバレー」内に誕生した大型ウィンドトンネル「バイクビル・インキュベーター」の存在が欠かせない。風速108㎞/hの風を作りだし、ロット・スーダルの選手が積極的に研究に参加することで、最先端エアロロードが誕生した

「インモールド F-サーフェス+」が
独自のエアロダイナミクス性能を確立

新型ノアのアイコンでもあるフレーム各所に縦の凹みを設けることで、整流効果を高める「インモールドF-サーフェス+」を採用。コラム、ヘッドチューブ、フォーク、ダウンチューブ、シートポストに採用されている。以前から独自の空力機構を生み出してきたリドレーの最新エアロダイナミクステクノロジーだ

よりアグレッシブさを追求し
ハンドルまわりの一体化を加速

ワイヤー・ケーブル類を完全内装するステム一体のエアロハンドルを採用。ヘッドチューブ位置を下げて、専用コラムスペーサーを差し込むことで、深い前傾のダイナミックなポジションを実現。また、ハンドルバーには最新のカムテール形状を採用し、空気の抜けのよさを追求。なお、分割式のスペーサーによってハンドル高の調整も容易だ

F-ウイングを搭載する
カムテール形状のフロントフォーク

カムテール形状のストレートエアロフォークは、ディスクブレーキとリムブレーキ用にそれぞれ専用設計される。ディスクブレーキ仕様は、フラットマウントタイプの12㎜スルーアクスル規格。フォークエンドには、空気の乱流を抑制する「F-ウイング」も採用し、徹底した空力性能の向上を図る

コンパクトなリアバック形状
スタイリッシュな内臓シートクランプ

鋭い反応性を生み出すコンパクト設計のリアバック。比較的細身のチェーンステーとシートチューブは、しっかりとリア剛性を確保しつつも快適性の向上も狙っている。シートチューブも刷新し、前作よりもシェイプアップされ、ホイールラインに合わせたカットアウト形状だ。内蔵シートクランプがスタイリッシュさを演出

空力性能に加えて、剛性と軽さを
実現する最先端のダウンチューブ形状

フロントホイールに近づけて空力性能向上を狙ったダウンチューブは、前作よりもシェイプアップされ、最先端のカムテール形状を採用。背面がフラットでエッジの利いたチューブ断面が特徴だ。エアロダイナミクスを高めつつ、フレーム単体250gの軽量化と反応性のよさを生む

パワー伝達性を高める
プレスフィットBB30

ペダリングのパワー伝達効率を追求した結果生まれた独自のBB形状。BBには、プレスフィットBB30を採用。軽さと剛性を両立している。Qファクターの狭いクランクも装着できる

リドレーが持つ最新テクノロジーを注ぎ込んだ第5世代のノア。
2016年に完成した「バイクビル・インキュベーター」大型風洞施設での空気流体実験により、最新のエアロプロファイルを獲得。
同時に、軽量化を推し進めて前作ノアSLディスクから250gもの軽量化を達成。
推測800g(XSサイズ)を切る超軽量エアロフレームを実現している。

フレームにはカムテール形状が積極的に導入され、整流効果を高める「インモールドF-サーフェスプラス」や「Fウィング」など独自設計も光る。
さらに、ディスクブレーキホース類の完全内蔵を実現する新型ステム一体型エアロハンドルと専用コラムスペーサーを新たに採用。

一方で、コンパクトなリア設計により剛性を高めて反応性を追求。もちろん、リドレーのアイデンティでもある「ライドクオリティー フロム ベルギー」の思想を継承。
長年のパートナーであるロット・スーダルの選手たちとともに、本社近隣の石畳のタフな環境下でのライディングテストを繰り返すことで、プロレベルに応える快適性や耐久性を獲得してきた。
新型ノアはスマートなルックスへ変貌し性能を全方位に進化させることに成功している。

GEOMETRY

INFO
リドレー・ノア ファスト ディスク
47万6000円(フレームセット/税抜)
■フレーム:60トン、40トン、30トンハイモジュラスカーボン
■フォーク:60トン、40トン、30トンハイモジュラスカーボン
■付属:専用シートポスト
■サイズ:XS、S、M
■重量:1000g(フレーム/S)、420g(フォーク/S)、198g(シートポスト)
■試乗車参考重量:6.86kg(Sサイズ・ペダルなし)
IMPRESSION

スタイリッシュさを極め想像を超えるキレ味を増した次世代エアロロード

ガラッと印象が変わったな。新型ノアの初見は、純粋にレーシングバイクとしてのムダのないスタイリングに感動する一方で、歴代モデルにあった勇ましくも艶かしい印象は抑えられていて、どこかおとなしさを感じる。

これまでエアロロードの先駆者として画期的な機構を搭載してきた個性派エアロロードが、どのように生まれ変わっているのか。ノアの進化に注目しながら走り始めた。
寒風吹きすさぶなか、ペダルにトルクをかけると、踏み出しに重さを感じないスムーズな動き出しを感じる。次の瞬間、アッと驚く鋭い加速感が身体を駆け抜けた。先代モデルから生まれ変わったシャープなスタイリングからは反応性が高まっていることが容易に想像できたが、それを上まわるリアクションの高さと伸びのある加速感がノア進化のポイントだ。

背中を押されるようにして、あっという間に時速35㎞前後まで到達し、そこからさらにペダルを踏み込むと加速曲線は右肩上がりだ。そして、一度40㎞を超えるスピード域へ入ると、最新のエアロプロファイルを手に入れたノアファストは、少ないパワーでの高速クルージングへと導いてくれた。あのグライペルのスプリントを支えてきたフレームだけあり、さぞ剛性は高いレベルにあるだろうと思われがちだが、意外にもアマチュアレーサーでもストレスなくスムーズに踏み抜ける剛性レベルに仕上がっている。高品質カーボンを使用しているだけあり、乾いたトーンのペダリングは気持ちがよく、ライダーをその気にさせてくれる。

さて、前作までのノアを振り返ると、空力性能は常に高いレベルにあったが、レースシーンでの反応性をシビアに評価すると、やや重さが気になっていた。スタートからゴールまでハイスピードで駆け抜けるプロレース向けという印象で、プロレベルの力がないアマチュアレーサーにはやや扱いにくいというのが個人的な感想だった。
それを見事に払拭した新型ノアファストは、走りのキレのよさが加わり、あらゆるロードシーンに適応する性能を有していることを確認できた。コーナーの多く加減速のあるエンデューロレースやクリテリウムから、起伏のあるグランフォンドレースまで、シビアに結果を求めるアマチュアレーサーの期待にも応えてくれる性能が備わっている。

機敏な運動性能はフレーム単体250gもの軽量化だけでなく、ディスクブレーキ化による恩恵もある。リムブレーキモデルよりも走りにエッジが利き、路面への入力が高まるコーナリングやスプリント時に、バイクの安定感が高まる。結果、人車一体となった力強くもシャープなライドフィールを実現してくれる。
さらに、ハンドルとフォークのインテグレーションは、ヘッド剛性を高め、挙動を安定させてライダーに安心感を与えてくれる印象だ。ハイスピードで駆け抜けるエアロロードには欠かせない性能といえる。

間違いなく大きな進化を遂げた新型ノア・ファスト・ディスク。100㎞にわたりその性能を感じたのち、バイクから降りると、改めて最先端エアロロードが放つシャープなスタイリングに惚れぼれしてしまうのだった。

 

IMPRESSION RIDER
ハシケン
ロードバイクをメインにするサイクルジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。2016年Mt.富士ヒルクライム一般クラス優勝、2017年乗鞍ヒルクライム58分10秒。UCIグランフォンド世界大会に出場経験あり。身長171cm、体重62kg

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TEXT:ハシケン PHOTO:小野口健太 ウエア協力:サンボルト
問:ジェイピースポーツグループwww.jpsg.co.jp

(出展:『BiCYCLE CLUB 2019年3月号』 ハシケンのロードバイクエクスプローラー)

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