バイシクル特集

2019/4/24 更新

LOOK・795 BLADE RS【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】

時代を象徴するかのようなエアロロード大豊作の2019モデルにあって、ルックのエアロロードもモデルチェンジを果たしている。
前作の795エアロライトから3年、795ブレードRSとして登場。リムブレーキをラインナップから外す欧米ブランドが出てくるなかで、リムブレーキモデルもしっかりとそろえるヨーロピアンブランドとして存在感を示す。

憧れのブランドのひとつとして名があがるフレンチバイクは、ペダルメーカーとして歩みを始め、その後も歴史に刻まれる名車として、数々の名選手とともにストリーを紡いできた。

2018モデルでは、山岳を支配するクライミングマシンとして「785ヒュエズRS」を誕生させ、爆発的な人気を呼んだ。
一方で、システムインテグレーションをテーマに専用設計のエアロロードも長年得意としてきた。

ニューモデルの795ブレードRSは、まさにルックがもつエアロダイナミクス技術の結晶であり、カムテールチューブなど最新のトレンドが盛り込まれる。
そして、整備性も重視している点が見逃せない。今月は、リムブレーキモデルの795ブレードRSをインプレッションし、各テクノロジーまで徹底的に紹介していこう。

TECHNOLOGY
テクノロジー詳細!
各部のユーザビリティと快適性を高めた万能エアロロード

新型エアロロードとしてデビューした795ブレードRS。
スタイリッシュなフレーム設計のなかにも新たな個性を宿した
ルックの最先端テクノロジーの一つひとつに迫る。

4種類の特性の異なるカーボンを採用
フレーム各部の剛性を最適化

アルミ全盛の時代にいち早くカーボンフレームの開発に着手してきたルック。長年のノウハウによって各部のレイアップを変更し、剛性や強度をコントロールしている。795ブレードRSには、弾性率の異なる4つのカーボンを採用。フォークは163枚、フレームは506枚のシートを貼り合わせて作られる

CFD解析により高められたエアロ性能
コンピューター上で最適な空力性能を追求するCFD解析によって、高いエアロダイナミク性能を獲得。時速45km走行時にバイクが受ける抵抗を124Wから122Wへと減少させた。高い空力性能を実現していた前作795エアロライトを上まわる空力性能を手に入れた

ワイヤーの内装化を実現する
専用ステムを新開発

シフトケーブルを内装し空力性能を高めるため、ADSハンドル専用のオリジナルステムを開発。専用コラムスペーサーによってステム高を調整できるセミインラグレーテッド設計。そして、楕円形状をした独自のフォークコラムが、ケーブル類にストレスをかけることなく完全内装化を実現する

フォークとの一体化を進めた
エアロヘッドチューブ

くびれ形状のヘッドチューブとしっかりとボリュームを確保したストレートフォークを特徴とする。フレームとのインテグレーションを実現し、ヘッドまわりの高剛性とエアロダイナミクス性能を両立

最先端カムテール形状が
エアロ・剛性・軽さを両立

流滴断面チューブから最新トレンドであるカムテールチューブへと刷新。各部ともにエアロロードらしくボリュームを出し、トッププロのパワーにも対応するだけのねじり剛性を追求している

リアリティを追求したCFD解析
ライダーありきの空力性能を実現

シートステーの左右へのしなり量を最大化するため、シートステイどうしをつなぐシートステーブリッジを廃した独自機構の3S(SMOOTH SWORDSEATSTAYS / スムース スワード シートステー)を採用。路面からの突き上げに対してシートステーをしならせることで衝撃を吸収。これにより快適性が23%も向上し、路面追求性が高まっている
シートステーアーチ形状とストレート形状に分け、さらにシートブリッジの有無によって、垂直方向の後輪軸の動きを比較したテストデータ。アーチ状でブリッジを廃することで大幅なしなり量を確保できる

ポジション調整幅が広い
新機構のエアロポスト2

新たに開発されたポジション調整幅の広い「AERO SEATPOST2」(エアロシートポスト2)。ヤグラを反転、スライドさせることで、シートチューブ角(仮想)を71.8°から78.4°まで実現可能。TTポジションも想定した設計になっている。シートチューブ背面にはストレージが装備できる

幅広い規格のBBに対応し
高剛性を可能にするPF86.5

BBには、ベアリングの大口径化を可能にするプレスフィット86.5を採用。BBまわりのボリュームを出し、パワー伝達性を高める。なお、フレームサイズによって、BB剛性をコントロールしている

時速45km走行時、ヨー角のドラッグフォースは前作の795RSの124Wから122Wへと、わずかながら空力性能が向上している。
これは、システムインテグレーションを高次元で実現してきたルックにとって、エアロダイナミクス性能が高水準に達していることの証ともいえる。

ステム角の可変ステムを廃して、よりケーブルラインにストレスがかかりにくい専用ステムとフォークコラムを開発。Di2ケーブルの内装化を可能にしつつ、ステムとヘッドチューブのセミインテグレーションを実現。
また、独自の3S(スムーズ・スヴォード・シートステー)を開発。ブレーキブリッジを廃し、シートチューブからシートステーを可能な限り分離させることで、左右へのしなり量を生み出す新機構だ。
結果として、23%も快適性を高めることに成功。このほか、カムテール形状のシートポストも新採用。オフセット量を調整でき、ポジションの調整幅を確保できるユーザビリティを特徴とする。

XSからXLまで5サイズを展開するが、ヘッドチューブ、リア三角などフレームの各セクションをサイズごとに剛性コントロールし、理想のライドフィールを妥協なく追求する。

GEOMETRY

INFO
ルック・795ブレードRS
41万円(フレームセット/税抜)
■フレーム:HMカーボン(46t)、IMカーボン(30t)、HRカーボン(24t)、他
■ステム:ADSハンドルバー専用ステム(XS=90、S=100、M・L=110、XL=120)
■専用シートポスト:オフセット角を4段階調整可能
■タイヤ:コンチネンタル・GP4000SⅡ
■フレーム重量:1250g(Sサイズ フレーム950g+フォーク300g)
■サイズ:XS、S、M、L、XL
■カラー:プロチームホワイトグロッシー、メタリックブルー、プロチームブラックグロッシー、レッドグロッシー
■試乗車参考重量:7.19kg(Sサイズ)

IMPRESSION

アマチュアレーサーでも踏み抜きやすく
苦手分野を持たない万能エアロロード

現在、ルックのレーシングモデルには、アルティテュード(山岳)カテゴリーの785ヒュエズとエアロロードの795がそろう。今回テストしたのは、2019モデルとしてモデルチェンジを果たした795ブレードRSだ。

やや脱線するが、最近は、ディスクブレーキモデルの試乗が増えているなかで、ひさびさのリムブレーキモデルになる。ルックは、国内でもリムブレーキの人気が高いブランドであり、今回のリムブレーキモデルのインプレッションは、そんな背景も考慮している。

795ブレードRSを東京都内の南多摩尾根幹線(尾根幹)にて走らせる。力まずにナチュラルにペダルを踏み込めば、気持ちのいいリアクションとともにキレのいい加速が生み出された。パキパキのスパルタンな反応ではないが、踏み込みに対して一瞬の踏ん張りがきくので、体重を乗せやすく、ゼロ発進からクランクを踏み込むごとに伸びやかな加速感を得やすい印象だ。

パワーライダーならともかく、平均的なアマチュアレーサーでは重量がそこそこあって剛性が高すぎると、踏み負けしやすい。その点、795ブレードRSは、多少のタメを作れるので踏み込みやすい。ふだんの愛機である785ヒュエズRSの剛性はスパルタンだが、軽量な分だけ踏み負けずに、ダイレクトな推進力を得やすい。両モデルのフィーリングは明確に異なっている。

ダンシングにも安定感を得やすく、重心を捉えながらスムーズに流れるような登坂を得意としている。比較になるが、785ヒュエズRSのキレ味のある加速性能とはタイプが異なる。ただ、ひとつ言えることは、エアロロードのカテゴリーのなかでは、緩斜面での登坂性能やダンシングといった運動性能は高いレベルにあるということ。
ここまで、エアロロードバイクとしては通常は苦手なシチュエーションでのインプレッションになったが、総じてネガティブな印象はなかった。起伏のあるようなツール・ド・おきなわのようなロードレースにも対応できるオールラウンド性能を有している。

バイクとのリズムが取れてきたところで、尾根幹のアップダウンを時速45km前後の高速域で駆け抜けてみる。フロントフォークが直進安定性を引き出し、高速域でもバイクの挙動が安定してくれる。操縦性はクイックというよりもマイルドな印象だ。

ところで、795ブレードRSの特徴でもあるリアの3S機構(下部にて紹介)は、リムブレーキモデルならではの構造だ。急制動時のビビリが不安要素として上がるが、心配は無用だ。しっかりと意のままに制動してくれた。
それでいて、この3S機構の目的であるリアの快適性能は、たしかに走りに現れている。ダンシングやスプリントなど大きくトラクションをかけたときに、リアの路面追従性が高いことを確認できた。振動吸収性が高いコンフォートバイクのような快適性ではなく、あくまでレーシングエアロロードとしてのフィーリングだ。

前作の795エアロライトに比べると、整備性を重視した結果、リムブレーキシステムは外付けとなっている。ディスクブレーキで武装したステルス戦闘機のようなエアロロードには空力性能面ではかなわないかもしれない。しかし、リムブレーキモデルのエアロロードとしては確かな存在感があり、乗り手に対するキャパシティが広いモデルといえる。

 

IMPRESSION RIDER
ハシケン
ロードバイクをメインにするサイクルジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライム一般クラス優勝、乗鞍ヒルクライムで上位に食い込む実力を持つ。UCIグランフォンド世界大会に出場経験あり。身長171cm、体重62kg

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TEXT:ハシケン PHOTO:小野口健太 ウエア協力:PISSEI(ピセイ)
問:ユーロスポーツインテグレーション www.eastwood.co.jp

(出典:『BiCYCLE CLUB 2019年5月号』 ハシケンのロードバイクエクスプローラー)

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