バイシクル特集

2019/5/15 更新

YONEX・CARBONEX【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】

ヨネックスがスポーツサイクル事業に参入したのは2014年の春だった。早いもので丸5年を迎え、昨年には同ブランド初となるエアロロード、「エアロフライト」を開発。いっぽうで、処女作となったカーボネックスは、大きくモデルチェンジをすることなく現在もヨネックスの看板モデルとしてラインナップされる。

今回は、そんなヨネックスのベースモデルともいえるカーボネックスにあらためてフォーカスしていきたい。以前にも試乗する機会はあったが、エアロロードとディスクブレーキロードでにぎわう時代に、軽さと快適性を特徴とするカーボネックスの世界観を、再度しっかりと乗り込んで感じてみたくなったことも、今月ピックアップしてみた動機だ。

現在でも量産フレームとしては世界最軽量クラスの650gを実現するカーボネックス。40年以上にわたって培ってきたヨネックスのカーボン成型技術に加え、独自のナノテク素材が融合されているのが特徴だ。

設計開発から製造までの工程を新潟県長岡市内の新潟生産本部にて行っている純国産フレームの実力はいかに。高剛性モデルのカーボネックスHRとともに、ヨネックスロードバイクを徹底インプレッションする。

TECHNOLOGY
テクノロジー詳細!
単純なカーボン成型技術にとどまらない
独自のナノ技術を搭載した高性能フレーム

長年培ってきた世界最高レベルのナノテクノロジーを結集して生み出された世界最軽量級フレーム。
フレーム単体650gを実現するカーボネックスに投入される数々の最新テクノロジーに迫る。

フレーム650gを実現する
独自のXフラーレンナノテクノロジー

ナノテクノロジー素材である原子構造であるフラーレンよりも10倍の結合力を持つXフラーレンをカーボンに複合。通常よりも少ない分子で同じ強度を保てるため、剛性や反発力を向上させることができ、性能を犠牲にせず650gの軽量フレームを実現

独自のゴムメタルが
しなやかさと加速を生み出す

通常の形状記憶合金よりも高い復元性を誇るチタン合金であるゴムメタルをフレームに採用。シートステーに配することで振動減衰性を高める一方で、ダウンチューブに配合することで踏み込む力をゴムのように跳ね返し、推進力を生み出している

振動減衰性に優れる2タイプの軽量フォークを用意
カーボネックスは2タイプの軽量フロントフォークから選択できる。エンドに向けて緩やかに曲がったベンドフォーク(写真)は振動減衰性に優れ、重量は320g。いっぽうで、キビキビとしたステアリングの反応性の高さが特長のストレートフォーク(345g)があり、ライディングの好みによってチョイスできる

ヘッドチューブとダウンチューブは真円チューブを採用
剛性と軽さのバランスを追求した結果、ヘッドチューブとダウンチューブは円形チューブを採用。ヘッドは上1-1/8インチ、下1-1/2インチの異径チューブで剛性を向上。ケーブルラインはストレスのない標準的な取りまわしを採用

高い振動減衰性を実現するウレタンコア材
「マイクロコア」を搭載

シートステー集合部とフロントフォークには、ウレタンコア材である「マイクロコア」を搭載。一般的なコア材に比べて250%もの高密度を誇り、素材自体の振動減衰性が高い。マイクロコアを採用することで、フレームの振動吸収性を8%も高め、ライダーに疲れにくさを提供している

ラケットのしなり技術を生かす
O.P.Sテクノロジーが路面追従性を向上させる

チェーンステーの形状を横扁平にすることで、縦剛性を21%下げ路面からの突き上げをいなす「オーバル・プレスド・シャフト」(O.P.S)テクノロジーを採用。テニスラケットにも採用される技術を応用し、路面追求性を高めている。横剛性は20%高まっているため反応性も向上

強度や剛性を確保する真の軽量レーシングフレーム
弾性率の異なるカーボンプリプレグを使い分け、積層、貼り合わせの角度をミリ単位で微調整しながら狙ったフレーム性能を実現する。すべて長岡市の新潟生産本社内において、日本の職人の手によってていねいに作り上げられている

スタイリッシュなスタイリングを実現する
BBにベアリングを直接圧入するプレスフィットタイプのPF86を採用。BBシェル幅86.5mm、内径41mmで、異音が発生しにくく、パワー伝達効率を高めることができる

650gという数値は、新規参入メーカーがロード市場に切り込むための命題でもあった。量産型フレームとしては当時、世界最軽量となったカーボネックス。純国産フレームとして、コンピューター解析による設計からカーボンのモノコック成型にいたるまで、長年ヨネックスが培ってきたカーボン技術を投入して生み出された。

同社が他分野で得意とするナノテクノロジーであるXフラーレン分子をカーボンに複合することで、剛性と強度を高め、結果として軽さを実現。また、低弾性率化と高強度化を両立できるチタン合金素材のゴムメタルを各所に配することで、パワー伝達効率を向上させている。さらに、高密度ウレタンコア材であるマイクロコアをシートステーに搭載し、振動吸収性を高め長時間ライドでの疲れにくさを追求する。

このほかにも、独自のO.P.Sチェーンステー形状など、自社がもつ技術を積極的に採用することで、軽さだけではない、独特のしなりによる推進力や快適性を手に入れることに成功している。

フレームサイズは4つ。身長150cm台半ばから対応できるスモールサイズもそろえるなど、日本人に乗りやすい完成度の高い軽量フレームが誕生した。

GEOMETRY

INFO
ヨネックス・カーボネックス
41万円(フレームセット/税抜)
価格:45万円(フレームセット/税抜)
■フレーム:フルカーボン、Xフラーレン、ゴムメタル
■サイズ:XXS、XS、S、M
■カラー:ブルー/グリーン、レッド/ブラック、イエロー/ブラック、グラファイト
■フレーム重量:650g(Sサイズ未塗装)
■フォーク重量:320g(Sサイズ未塗装・ベントタイプ)
■試乗車参考重量:6.51kg(Sサイズ)
*フロントフォークは、ベントフォークとストレートフォークを選択可

IMPRESSION

誰にでも実感できる気持ちのいいしなりが
ライダーの能力を限界まで引き出す

実走派ライター・ハシケンが、純国産ブランドのヨネックスが誇るカーボネックスを100km乗り込んで、徹底インプレッション!
「ヨネックスって、しなやかなんですよね」これまでもレース会場などでたずねられることが多々あった。星の数ほどあるロードフレームのなかにあって、世界最軽量のカーボネックスに対する好奇心は高い。私自身の印象は、しなやかで軽いというものだったが、それもずいぶん昔の記憶であり、今回はしっかりと乗り込んだうえで、カーボネックスの乗り味と実力を再確認しておきたかった。

やや前置きが長くなったが、フレーム単体650gの純国産フレームに、シマノC 24軽量ホイールの山岳仕様で、春爛漫の筑波山へと走り出した。
まずは低めのトルクから、徐々にギヤをかけていき加速する。すると、さっそくこのバイクの特性が顔をのぞかせた。低速域でもシフトチェンジの瞬間のギヤのかかりが早く、次々にシフトアップしていける。フレームとペダリング入力が喧嘩することなく、スムーズな入力から軽やかな加速が生まれていく印象だ。

ウォーミングアップもほどほどに、山岳コースへとシーンを移していく。そして、勾配が急になりトルクがかかりだすと剛性レベルがはっきりしてきた。昨今の高剛性フレームと比較すると、あきらかに踏み感がやさしくフレームの性格が穏やかだ。
入力がスムーズで、バイクの振りも軽いため、ダンシングではやや軽快すぎる印象もあったが、そのフィーリングも峠の中腹にさしかかるころには慣れていき、ばつぐんのヒルクライム性能を実感しながら駆け上がっていく。

普段のインプレッションでは峠に走りに行っても本気のタイムアタックはめったにしないが、今回は全力で踏み続けた。そのなかで感じたことは、パワーをかけて踏んだ感じはしなくても、カーボネックスは推進力を生んでくれるということだ。パリパリの硬いフレームの場合、踏んだ瞬間の硬さにダイレクト感が伝わるが、疲れてきたときに脚が踏み負けやすくなるのも事実だ。カーボネックスの硬すぎないフレーム特性がもつ「しなり」が、軽さと相まってスムーズにライダーの背中を押し続けてくれる。

メインの峠を越えて、尾根づたいを走る高速区間へ。時速35kmを超えるスピード域でアップダウンをこなしていく。高速域のなかでも上り返しのシーンで加速を試みれば、ここでもバイクの軽さを実感する。ただし、挙動が不安定になることなく、路面をとらえてくれるので安心だ。

昨今の高剛性エアロロードに感じるエッジを利かせた鋭いコーナリング性能とは異なるが、じつにナチュラルにバイクをコントロールできる。バイク主体ではなくライダー主体となったコントロール性能は、ほんとうの意味での人馬一体感だ。けっして、重心の低さを感じやすいモデルではないが、安定性の高いベンドフォークと路面追従性の高さが、しっかり機能している。ちなみに、カーボネックスのフォークはベンドとストレートの2タイプから選べる。

今回、トルクがかかったときのフレームのしなりを存分に感じながらのヒルクライムは、とても気持ちいいものだった。スパルタンな硬さは微塵もなく、多くのホビーレーサーが「合っている」と感じやすいはずだ。

 

IMPRESSION RIDER
ハシケン
ロードバイクをメインにするサイクルジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライム一般クラス優勝、UCIグランフォンド世界大会に出場経験あり。身長171cm、体重62kg。『ヒルクライム完全攻略』(エイムック)著編。

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TEXT:ハシケン PHOTO:小野口健太
問:ヨネックス www.yonex.co.jp/roadbike

(出典:『BiCYCLE CLUB 2019年6月号』 ハシケンのロードバイクエクスプローラー)

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