バイシクル特集

2019/5/18 更新

YONEX・CARBONEX SERIES【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】

徹底した軽さを追求するフェザーライト塗装
一般的なフレーム塗装量が50〜100gであるのに対して、Feather Light Coated( フェザーライトコーテッド)の塗装重量はわずか15g以下。カーボネックスとカーボネックスHRの両モデルに展開されるグラファイトカラーに特別な軽量塗装が施される

軽さと快適性を高次元で融合したカーボネックスをベースにしつつ、剛性を強化したカーボネックス HR。今回は、2つのリムブレーキモデルを徹底的に乗り比べた

COMPARISON
新旧モデル徹底比較
3モデルが役割を明確化カーボネックスの足跡

2014年に誕生以来、ヨネックスの看板モデルとしてラインナップされるカーボネックス。
その後、HRモデルとディスクモデルをリリース。ベースモデルから最新モデルまでを比較していく。

カーボン素材を駆使して、さまざまなスポーツ分野において製品作りを続けてきたヨネックスが、初めてロードフレームを誕生させた2014年春。その数年前から構想・開発は続けられ、カーボネックスは処女作にして高い完成度を実現していた。
650gの超軽量スペックと独特のしなりを生かした特性が新たな価値観を生み出し、着実にジャパンブランドとして、群雄割拠のロード市場において存在感を示してきた。

2016年には、より剛性を高めたカーボネックスHR(ハイリジディティ)を誕生させ、登坂性能に優れるカーボネックスと、反応性を高めロードレース向けの味つけをしたカーボネックスHRの2モデルを柱にすえた。

さらに、2018年には時代に即したディスクブレーキモデルをリリースし、レースだけでなくロングライド志向にまで守備範囲を広げていった。わずか4年のあいだに、用途に応じた充実のラインナップを実現してきた。

現在は、キナンサイクリングチームをサポートし、山本元喜選手の2018年全日本ロードタイトルの奪取に貢献。このほか、ヒルクライマーの森本誠選手や金子広美選手などもサポートし、両選手ともに軽量なカーボネックスで輝かしい成績を収めている。

SECOND GRADE IMPRESSION
レベルの高いレーシング性能

ナノサイエンス素材のネオカップスタックカーボンナノチューブを採用し、
高出力のパワーにも応える高剛性を実現したカーボネックスHRモデル。
スタンダードモデルとの比較を中心にインプレッション。

IMPRESSION

アグレッシブさをスマートに融合スプリント時のキレのよさが際立つ

キビキビとした運動性能がホビーレーサーの心をつかむ

抜群のしなやかさを特徴とするカーボネックスを乗った直後にHRモデルを走らせると、よくも悪くもごくごく標準的なフィーリングで、アッと驚く世界観には感じられない。しかし、昨今の高剛性フレームと比較すれば、踏み込みに対するストレスのないBB剛性やナチュラルな運動性能は、カーボネックスらしさを継承していることに気づく。峠の登坂性能もレベルが高いことを確認できた。

語弊を恐れずにいえば、女性的なカーボネックスに対して、アグレッシブさを持ち合わせたレーシング性能を引き出している男性的なモデルがHRモデルだろう。そして、ストレートフォークのキビキビしたステアリング性能もフレーム特性を引き出している。

そして、加減速の大きなシチュエーションでは、しっかりと踏ん張りが効き、アタックやスプリントのキレ味は一枚上手だ。大柄でパワーの高めのライダーとの相性がいいだろう。

全体的に高剛性ながら、新素材のネオカップSCカーボンナノチューブやゴムメタルといった独自素材を融合することで、振動吸収性能も高く、長時間のロードレースで性能を生かせるはずだ。

 

INFO
ヨネックス・カーボネックス HR

■47万円(フレームセット/税別)
■フレーム:フルカーボン、ネオカップスタックカーボンナノチューブ、Xフラーレン、ゴムメタル
■サイズ:XXS、XS、S、M
■カラー:ブルー/グリーン、ディープレッド、アッシュブラック、グラファイト
■フレーム重量:730g(Sサイズ未塗装)
■フォーク重量:350g(Sサイズ未塗装・ストレート)
■試乗車参考重量:6.41kg(Sサイズ)

 

1 /機敏なステアリング性能を実現するストレートフォークを採用するカーボネックスHR。ロードレースやクリテリウムなど鋭い動きを求めるレースシーンに向く 2 /多方向から複雑に応力がかかるダウンチューブには、軽さも追求した結果、真円形状を採用。カーボネックスのアイデンティティになっている 3 /新素材のネオカップスタックカーボン(SC)ナノチューブを採用することで、踏みに対する反応性と振動吸収性を向上させている

CONCLUSION
結論
しなやかさが真の速さを生む
ファンを増やし続ける超軽量モデル

日本生まれの超軽量フレームは650gのスペックだけではなく、速さを求めるライダーにとって
欠かすことのできない「しなり」を持ち合わせていた。今、あらためてカーボネックスの価値を考える。

カーボネックスのすごさは、単純に高弾性カーボンによって軽さを実現しているだけではなく、あれだけのしなやかさを持ち合わせながら650gに到達していることにつきる。テニスやバドミントンなどジャンルは違えど、長年世界のスポーツシーンを支えてきたヨネックス。新たな挑戦であったロードフレームでも「しなり」というキーワードをもって真の速さを求めていった。
もちろん、その行程に試行錯誤があったことは想像に難くないが、しなりを十分に生かした踏み込みから推進力に変換されるまでの気持ちよさは、カーボネックスにしか感じられない。

そして今、ディスクブレーキ化の時流により、フレームのしなやかさは絶滅しつつある。だからこそ、カーボネックスの存在価値はより輝きを放っている。

今回、峠のタイムトライアルを含めて走り込んで感じたことは、最後までしっかりと追い込んで、今持てる力を出しやすいレーシングフレームだということだろう。つまり、硬すぎるフレームだと、心肺機能が限界に達する前に、脚にダメージが蓄積してフレームに踏み負けてしまう。

カーボネックスは、ヒルクライム終盤でも脚へのダメージを最小限に抑えられるため、最後まで追い込むことができる。そして、踏み込みのイメージ以上に推進力を得やすい点も、今回のインプレッションを通じて感じたことだ。

650gというフレーム重量に目を奪われがちだが、真の速さは軽さのみで得られるものではない。高剛性でフレームの変形量が少ないモデルが増え続けるなかで、いつしかフレームのもつしなやかさに出合う機会も減ってしまっている。今こそ、カーボネックスのもつ魅力を感じてみるといいのかもしれない。

2019モデルではフレーム重量830gの超軽量エアロロードを発表するなどブランドとして成長を感じさせるが、個人的には処女作であるカーボネックスの後継モデル誕生にも期待したい。

エアロフライト(フレームセット) 70万円(税抜)
従来のカーボネックスから20%もの空力性能向上を実現。フロントフォークのコラムとブレード部分に新素材エヌアムドを採用し、路面からの突き上げを軽減。さらに、シートチューブはバイブスレイヤーカーボンによって快適性を追求したヨネックス初となるエアロロードだ。フレーム重量830gは最軽量クラスだ

4つのカラーバリエーション
カーボネックスは、コーボレートカラーのブルー/グリーンに加えて、3カラーを展開。メイドインジャパンのこだわりは、美しい塗装にも表現される。グラファイトカラーは塗装重量を15g以下に抑えたスペシャルカラーだ

IMPRESSION RIDER
ハシケン
ロードバイクをメインにするサイクルジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライム一般クラス優勝、UCIグランフォンド世界大会に出場経験あり。身長171cm、体重62kg。『ヒルクライム完全攻略』(エイムック)著編。

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TEXT:ハシケン PHOTO:小野口健太
問:ヨネックスwww.yonex.co.jp/roadbike

(出典:『BiCYCLE CLUB 2019年6月号』 ハシケンのロードバイクエクスプローラー)

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