バイシクル特集

2019/7/8 更新

MULLER・MTI64【ニューモデルインプレッション】

素材のもつ能力を引き出したチタンロード

スチールからチタン、ステンレスと金属フレームにこだわったバイクを網羅するミューラー。磨き上げられた走行性能と同時に所有欲も高めてくれるバイクをそろえる日本のブランドだ。
MTI64は、チタン素材のもつ能力を最大限に引き出したロードバイクだ。マッシブな外観を構成するチュービングは2種類。フレームには航空機でも使用される高剛性の6AL-4Vチタンバテッドチューブを採用して、あえて硬さを確保し、ペダリングに対するレスポンスを高めた。
そして過剛性になるのを防ぐために用いられるのが、フォークに採用されたしなやかな特性をもつ3AL-2・5Vチタンだ。これによりペダリングの入力に対応する硬さと、路面からの衝撃を緩和する優しさ、さらに路面をつかむ追従性を同居させている。
金属フレームでも走行性能を重視して、カーボンフォークが採用されることが多いがMTI64は、あえてチタン素材のみで挑んだ意欲作といえる。
いつまでも輝きを失わないチタン素材と、太めのチュービングが放つ存在感は、ほかの何にも変えがたい。
今回試乗したのはリムブレーキだが、1万5000円のアップチャージでディスクブレーキ仕様のスルーアクスル採用モデルも展開。ライダーの走行環境やスタイル、好みによって選びたい。

正確な変速のため高精度の大型エンドを採用する 

BBはJISタイプ。溶接部分からはていねいな仕事ぶりがうかがえる。DI2とEPSに対応するケーブルホールも2カ所設けた

コーナリングとダンシング時のレスポンスを追求してテーパードヘッドを採用。フォーク素材はしなやかな3AL-2.5Vチタンを用いる 

シートステー部分は太めのチューブで横剛性を確保。振動吸収性は素材のもつ特性でカバーされる

 

INFO
ミューラー・MTI64
52万8000円(フレームセット/税抜)※ディスクブレーキ仕様は54万3000円
■フレーム:6AL-4Vチタンバテッドチューブ ■フォーク:3Al-2.5Vチタン ■コンポーネント:シマノ・デュラエース ■ハンドル:3T・エルゴノバ ■ステム:デダ・スーパーゼロ ■シートポスト:FSA・ゴッサマー ■サドル:サンマルコ・コンコール ■ホイール:イカロ・ICRヒルクライムプロC ■タイヤ:パナレーサー・レースCエボ2 ■サイズ:48、50、52、54、56、58 ■カラー:チタン ■試乗車重量:7.5㎏(54 /ペダルレス)※付属品以外のパーツはテストバイクのスペック

 

IMPRESSION

快適性と運動性能を両立した大人のためのチタンロードバイク

走り出しからチタン素材のもつしなりをはっきりと感じられる乗り味が印象的なバイクだ。ダウンチューブのねじりが大きめで、ペダリングのトルクも同時に感じやすい。これによりバイク自体が進んでいる感覚があり、リズムをつかみやすいのがメリットだ。ダンシング時に上半身の力も加わってくるとその傾向は顕著に表れる。しなりは大きいが反発はゆっくりでおとなしさもある。
その乗り味から平坦でのスプリント的な走りだと物足りなさを感じてしまうと思っていたが、逆に最後まで自分のパワーを伝えられ、スピードの上限までしっかりと加速できる扱いやすさが印象に残った。つまりレースバイクとしても使えるペダリング特性といえる。チタン素材の持ち味ともいえる快適性も高く、しっかりと振動を逃がしている感じで路面からの突き上げ感は少ない。このあたりはフレームとフォークで素材を変更した効果が表れている。
ハンドリングはニュートラルで、巡航時やダンシングなどで安定感がある。しかしコーナーに入るとオーバーステア気味に変化してギュっと曲がっていく傾向がある。扱いやすさを備えながらも、運動性能的にキビキビしている側面をもつ。通常走行ではラグジュアリー感が感じられ、いざ攻めた走りをしたいときにはレーシーな部分が垣間見えるバイク。本物の金属製バイクを求める大人のユーザーに乗ってもらいたいバイクだといえる。

 

IMPRESSION RIDER
鈴木雷太
MTBクロスカントリーでは2回の全日本タイトルを獲得しシドニー五輪にも出場した元プロライダー。ロードバイクの経験も豊富で、さまざまな目線からバイクをインプレッションしている。身長168cm

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問:ミュラージャパン http://mullerjapan.com
TEXT:猪俣健一/鈴木雷太 PHOTO:猪俣健一
(出展:『BiCYCLE CLUB 2019年8月号』ニューモデルインプレッション)

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