富士山と駿河湾の町 沼津を巡るロードバイク一人旅

富士山と駿河湾の町 沼津を巡るロードバイク一人旅

日本一高い山のふもとで、日本一深い湾に臨む港町、沼津。
市内を流れる狩野川沿いでの快適なサイクリング、富士山の眺望、レベルに応じて選べる峠、漁港ならではの食……と
沼津の魅力を凝縮した1泊2日の旅。

出発は狩野川から
朝の空気が気持ちいい

東京から輪行で2時間弱。朝早くから移動してきて、沼津駅で自転車を組み立てる。ツーリングの出発地として同様に利用したことがあったので、スムーズに走り出す準備ができた。
今回は、伊豆半島を流れる狩野川沿いに整備されたサイクリングロードと、駿河湾沿いを走りながら、沼津市を巡る。
狩野川サイクリングロードは、東京でふだん走るサイクリングロードに比べ、道幅が広く、スピードを落とすための段差が少ないと聞き、走るのを楽しみにしていた。
沼津駅から最初に向かうのは、沼津中心地のあゆみ橋。通勤通学のピーク時で地元のサラリーマンや自転車の学生が往来する。最近のテレビドラマの舞台になっていた映像の記憶と、実際に訪れて見た日常の風景が重なる。この場所から狩野川を上流に向かって走り出す。
スタートしてすぐは沼津の街並みを横目に走り、しばらくすると緑が広がっていく。
たしかにサイクリングロードの道幅が広くデコボコしていないので、自分のスピードでスイスイ走ることができるが、それだけでなく、高い位置から狩野川やまわりの風景を見渡すことができるので、とても気持ちよく走って行けると思った。
サイクリングロードにはもちろん地元の人もいて、道が快適すぎるのか、元気のいい男子高校生たちは猛スピードで私を追い越して行く。自然があふれ、活気に満ちた狩野川の朝だ。
富士山を背にして走っているので、たびたび立ち止まって振り返り、富士山を仰ぐ。裾野は雲に覆われているが、頂はしっかりと確認できた。うれしくなって、そしてまた走り出す。
狩野川の向こうに現れる小高い山々の連なりは、初めて見る風景だ。自分の目線の高さにツバメの群れが飛んできて並走してくれ、さらに楽しくなった。しかし彼らの並走は、低気圧の証拠だ。これからの旅程で天候がもってくれることを願う。
県道134号が交わるところで狩野川サイクリングロードを外れ、ツバメたちとお別れし、山々の中を入って行く。山と山の間を走るので、アップダウンはひどくなく、山を抜けると真正面に駿河湾が広がる。今度は海を右手に県道17号を進み、戸田を目指す。

  • あゆみ橋

    歩行者、自転車専用橋として利用される、あゆみ橋。沼津駅周辺から市役所方面のアクセスに役立っているそう

  • 沼津ランニング&スキルズステーション

    あゆみ橋近くにある沼津ランニング&スキルズステーション

  • 干物

    沼津港で目を引く干物は、旅の終わりのおみやげにしたい

沼津市街地

沼津市街地

海と峠を楽しむコース
自然もお店も個性豊か

内浦湾に臨む「いけすや」でお昼休憩にする。内浦湾は季節による水温の変化が激しく、身の引き締まった魚が育つそう。
いけすやでは、そんな環境の厳しい内浦産の、しかもとれたてのあじを楽しむことができるとあって、オープンの時間からお客さんでにぎわっている。
私は、「二食感活あじ丼」という名前にひかれ、迷わず注文。二食感というのは、直前まで生きていた〆たてのやわらかい食感の活あじと、前日に〆た旨味のある活あじの二種類のあじが乗っているのだ。同じあじでも〆るタイミングと寝かせる時間によって、食感と旨みに変化があり、どちらもおいしく食べ比べた。
この先もしばらく海沿いを走るが、海と反対側、視界の左手にはせっかく山があるので、気まぐれで県道127号に左折する。はじめのうちは緩やかな上り坂だったが、ある地点から急に勾配がキツくなり、道も湾曲し、先まで見通せなくなった。標高491mの真城峠だ。
途中で足を止めて休憩するような場所もなく、というよりそもそも一度止まったら、またペダルを回し始めるのが辛そうなので、せこせこと脚を回し、少しずつ進んで行く。
数カ所だけ木々の間から駿河湾の青色がのぞくことがあったが、休憩スポットがないのと同様に見晴らしのいい眺望スポットはなかった。それでも上っているだけでアドレナリン全開だ。
結局、汗だくで491mの地点に着いたら、眺望の代わりに「真城峠」の看板が頂点の印となっていた。地道に進んでたどり着いた頂点は、あっけなく通り過ぎてしまった。次は戸田を目指して下るのみ!
道の駅の看板に導かれて「くるら戸田」に入る。新しい施設のようで、足湯や日帰り温泉が利用できる。サイクルラックがたくさん設置され、建物の中には工具や空気入れを完備したバイシクルピットが用意されるのはサイクリストにうれしい。
スタッフさんと話しているときに「真城峠から下って来た」と言うと、真城峠に上った証としてバナーシールがもらえた。同様に、戸田峠などのシールもあり、伊豆半島のどの方面からやってきて、どの峠を上ったのか自己申告することで、峠シールがゲットできるみたいだ。しかし上っていなくてももらえるという(オフレコ)。
戸田に宿泊するので1日めのライドは終わりだが、ちょっと足を伸ばして戸田御浜崎という岬の先っぽまで行ってみる。波の音を聞きながら、透き通った水色を見ているだけで、その中にぷかぷかと浮かんでいるような心地いい感覚になり、しばらく座っていた。

  • 沼津市街地から狩野川を上流に向け走る。緑のまぶしさが気持ちいい

    沼津市街地から狩野川を上流に向け走る。緑のまぶしさが気持ちいい

  • 「いけすや」付近の辻宗商店のおばあちゃんが地元のことを教えてくれる

    「いけすや」付近の辻宗商店のおばあちゃんが地元のことを教えてくれる

  • 駿河湾は夕日の眺望スポットがたくさん

    駿河湾は夕日の眺望スポットがたくさん

峠の茶屋アザセボラ、いけすや峠の茶屋アザセボラ、いけすや

県道17号を走行中、気になる看板が出現。お店の6㎞ほど手前から数㎞ごとに「コーヒードーデスカ」の文字と犬(?)のイラスト。1.5キロ地点では、もはや「ドーデスカ」のみでただならぬ雰囲気。スルーしようにも気になって仕方がない!とドキドキしながらお店に近づいていったら……準備中かーい!(涙)

2日めはのんびりライド
観光も交えて

朝4時に目が覚めてしまう。外はまだ暗いが、窓から見える駿河湾には漁船が揺れていて、人の話す声も聞こえる。漁師さんだろうか。
2日めは、戸田から沼津市街地に戻る。出発からゴールまで海沿いを走り、ところどころトンネルや、ほどよいアップダウンもある。
戸田御浜崎とは別の大瀬崎という岬に立ち寄る。岬の中にある「神池」は、海から離れていないのに淡水の池で、伊豆の七不思議のひとつだという(神域なので、池の調査などをするとたたりがあると言われており、なぜ淡水なのかわかっていないというのはおもしろい!)。たしかに、これまで見たことのないくらい密度の高いコイの群れがいた。
チェレステカフェにはちょうどお昼時にたどり着けた。サイクルラックがあるだけでなく、店内にはサイクルウエアや、伊豆半島に走りに来るプロ選手たちのサインにあふれ、まさにサイクリストのオアシス。もちろん自転車乗りだけでなく、市内のママたちや、カップル、家族連れも多いそうで、だれでもくつろげる落ち着いた雰囲気だ。
おいしい若鶏のローストでお腹いっぱいで、居心地のよさもあり、再出発までにくつろぎすぎてしまったが、あとは沼津港周辺の観光(もはやライドとは言わない)を残すのみ。御用邸記念公園、深海水族館、そして沼津港のショップで時間をかけておみやげを選び、たっぷり満喫して電車に乗った。

景色の移り変わりと緩急あるコースでつねに新鮮な旅に!

  • 戸田港の眺望を楽しむなら、「健康の森展望地」がオススメ。クルマだと気が付かずに通り過ぎてしまいそう

    戸田港の眺望を楽しむなら、「健康の森展望地」がオススメ。クルマだと気が付かずに通り過ぎてしまいそう

  • 真城峠の頂上を目指し思わずダンシング!?

    真城峠の頂上を目指し思わずダンシング!?

  • 大瀬崎を自転車を押して歩く。海の向こうには富士山

    大瀬崎を自転車を押して歩く。海の向こうには富士山

  • チェレステカフェで人気の若鶏のローストプレート

    チェレステカフェで人気の若鶏のローストプレート

  • 深海水族館で見た戸田港の名物、タカアシガニ。とにかくデカい!

    深海水族館で見た戸田港の名物、タカアシガニ。とにかくデカい!

自転車を押して散策するのにちょうどいい御用邸記念公園、駿河湾の深海の生き物たちを間近で見られる深海水族館、そして沼津港での海鮮とおみやげ自転車を押して散策するのにちょうどいい御用邸記念公園、駿河湾の深海の生き物たちを間近で見られる深海水族館、そして沼津港での海鮮とおみやげ

海辺を走って沼津市街地に戻ってきたら、あとはライドというよりは観光気分で楽しむ!自転車を押して散策するのにちょうどいい御用邸記念公園、駿河湾の深海の生き物たちを間近で見られる深海水族館、そして沼津港での海鮮とおみやげ

COLUMN

沼津サイクリングに快適な施設やサービスがいっぱい

サイクリングの環境整備に力を入れている沼津市。市内外には30を超えるバイシクルピットを設置。旅の拠点となるサイクルステーションの開設のほか、市内の各港をつなぐ航路では、夏季限定で自転車を積み込んでの乗船が可能となっている。

  • バイシクルピット/サイクルステーション

    バイシクルピット/サイクルステーション

    バイシクルピットが設置された施設やお店では、工具や空気入れの貸出を行っている。設置店には目印となるのぼりが立っている。また、廃校を利用した「NUMAZUサイクルステーション静浦東」は事前申し込み制で団体で利用可能
    (問:沼津市観光戦略課 TEL.055-934-4843)

  • 船の利用でコースをショートカット

    船の利用でコースをショートカット

    7月と8月には、沼津港、三津港、大瀬それぞれをつなぐ定期船に自転車を載せられるサービスが加わる。長距離を走るのが苦手な人、いつもと違うサイクリングを楽しみたい人は、船の移動も取り入れてコースを自由自在に設定しよう!
    (問:千鳥観光汽船 TEL.055-943-2221)

ぬまづサイクリングホームページもチェック!

NUMAZU CYCLING 
ぬまづサイクリングホームページ
http://www.city.numazu.shizuoka.jp/cycling

TEXT:高木陽奈子
 PHOTO:廣瀬友春
 MAP:オゾングラフィックス

マップ

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TOURING GEAR
沼津を走破!
中距離ツーリングスタイル

2日間で100㎞弱、不安定な天候のなか、起伏に富む沼津市をまわる。
バイクもウエアも、バランスよく、少し気を抜いたものを。
旅のあいだに増減する荷物も、シートバッグひとつで対応!

Item01:GEAR

ビギナーから中級者にオススメ トップブランドのミドルグレードバイク

  • コルナゴ C-RS 105(2017年モデル)
  • BIKE INFO

    コルナゴ
    C-RS 105(2017年モデル)
    27万円(税抜)
    問:エヌビーエス www.colnago.co.jp

    ぺダリングの軽快さと加速の快適さ、直進安定性に優れたバランスのいい1台。プロスペックのC60を彷彿させるダウンチューブ形状。ビギナーにも手が届きやすい価格と、扱いやすさが魅力で、気張らずに乗りこなせる

    ●フレーム/カーボン ●コンポーネント/シマノ・105 ●ハンドル/デダ・RHM 01 ●ステム/デダ・ゼロ ●ホイール/シマノ・WH-RS010 ●サドル/セライタリア・QBIK ●カラー/ホワイト

  • 沼津のソウルフード!? のっぽパン

    沼津のソウルフード!? のっぽパン

    34㎝のボディにクリームがサンドされたご当地パン。パッケージのキリンが愛らしい。沼津出身の友人に逆に「知らないの?」と言われるほど、地元で愛されている模様。補給食としてたくさん買い込んでもフレームにくくりつけられる(かも)

  • シートバッグの中身

    シートバッグの中身

    低気圧の影響で天候が心配だったので、レインウエアは必携。朝晩のためにジャケットも持ち歩いた。2ℓペットボトルが2本入るほどのシートバッグだそうで、着替え、ポーチ、工具類、輪行袋などひと通り入れてもかなり余裕があった。沼津を走ると、ミカンやご当地食材など、どんどん増えていく(笑)。ライド後はさらにお土産が加わる

Item02:WEAR

中距離ツーリングにぴったり ゆったり楽チンウエア

  • 全身写真
  • ① ②

    スポーツフル
    ジャラ W ジャージ/ショーツ
    1万2500円/
    1万500円(ともに税抜)
    問:日直商会 http://nichinao.co.jp

    イタリア語で「未舗装路」を意味するジャラは、その名の通りグラベルロードやツーリングに適したシリーズで、レース仕様のウエアに比べゆったりとしたフィット感。速乾性に優れ、柔らかいWICKSOFT素材を使用。シンプルなデザイン、スマートなカラーリングで、上下セットアップでコーディネートできる

  • ボディージオメトリー ゲルグローブロングウィメンズ

    スペシャライズド
    ボディージオメトリー
    ゲルグローブロングウィメンズ

    5400円(税込)
    問:スペシャライズド www.specialized.com

    全体に厚いパッドが付いており、疲れにくい。フルフィンガーでもメッシュ素材を使っているので、長時間走ってもムレにくいのがよかった

  • トラベル サドルバッグ 14ℓ

    リンプロジェクト
    トラベル
    サドルバッグ 14ℓ

    1万4000円(税抜)
    問:リンプロジェクト www.rinproject.com

    リュックに変形する大型バッグ。丈夫なショルダーベルトは、荷物固定用のストラップを兼ね、自転車に取り付けたときも役立つ。バッグが直接タイヤに当たらないプロテクター付き

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